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中小企業診断士ブログのドモドモ遠田: 2008年8月アーカイブ

福澤諭吉economyを経済と翻訳したのは福澤諭吉である。
経済とは、世の中を治め人民を救うことを意味する経世済民(または経国済民)を略した略語であり、この経済という言葉をeconomyの訳語とした。(出典は、経済-Wikipedia

よって、経済学とは世の中を治め人民を救う(経世済民)の学問である。

経済学を学ぶには
①基本法則の導出
②世の中の改善案の考察

という2つの視点を持つことが必要だ。

経済は、実験や観察が困難だ。
たとえば、消費税を10%にあげらたどうなるか?
これを実験的に試行錯誤しようと、
・ある月だけを消費税を10%にする
・特定の県だけを消費税を10%にする
ということはきわめて非現実的である。
企業のテストマーケティングのように一国の経済で実験的試行することは容易ではない。

実験や観察が容易でないということは「考える」ことが重要になる。
そのための手法として、
「単純化して論理的に数学を用いる」
ことが有効である。

 

景気がよいということはどういうことか?
景気とは経済活動の勢いのことで、経済活動全体の調子や様子などを表わす。
経済活動を単純化して考えると、経済活動の主体は、家計、企業、金融機関、政府の4者である。
4者の間で、財、サービス、貨幣などが循環するが、この循環がよい場合は「景気がよい」と考えられる。

景気循環の4者


循環の起点になるのは「生産」であると考えるのが古典的な経済学である。
企業の生産が増えることにより、労働者に賃金が払われ、家計の消費が増える。
家計は余剰資金を金融機関に貯蓄し、金融機関は間接金融の原資が整う。
企業は生産が増えることにより、設備投資意欲が向上し設備投資のための融資を金融機関から受ける。
政府はこれら3者からの税金を集め公共サービスを提供する。
このような循環がスムーズによくなることを好景気という。

ただし景気がよいというのは景況感というイメージであり主観的な感覚であり定性的な表現である。

では好景気を定量的に表わすものはなにか?
それがGDP(国内総生産)である。

上記の循環の図もその総和はGDP(国内総生産)だと考えることができる。 

GDPは生産=支出=分配となるため三面等価の原則といわれている。

生産で生まれた付加価値は、全て誰かに帰属しているので、賃金や企業所得などに分配される。(生産=分配)
家計や企業などに分配された資金は、全て消費や投資や貯蓄などに支出される。(分配=支出)
国内で生産された財やサービスは必ず何かの用途に利用され生産と同額の支出が行われる。(生産=支出)
このため国内総生産 (GDP) は、企業などの生産活動の側から見ても、家計の消費支出や企業の設備投資などの支出側から見ても同額になる。
3つの側面のどこから見ても同額であるということなので三面等価の原則といわれている。この概念を図にすると上から見ると正三角形で横から見ると長方形の柱のようなカタチになる。

GDPの三面等価の原則

 

3つのGDPにはそれぞれの計算式がある。

①生産面から見たGDPは
 GDP=生産-中間投入

②支出面(消費面)から見たGDPは
 GDP=消費+投資+政府支出+輸出入
 これをもっとくわしく展開すると
 GDP=民間最終消費支出+国内総固定資本形成+在庫品増加+政府最終支出+輸出-輸入
 となる

③分配面(所得面)から見たGDPは
 GDP=雇用者所得+営業余剰(企業が得た所得)+固定資本減耗(いわゆる減価償却費)+間接税-補助金

GDPを計算する場合はケースによって①、②、③のどれを使うかが問題になることがあるが、原則としてこの3つは同じ値になる。

バリアン先生が述べる経済論文の書き方を参考にしよう

How to Build an Economic Model in Your Spare Time Hal R. Varian

経済学における仕事の大部分は理論モデルを構成することだ。説明する研究のモデルは創造する経済モデルを理想化である。

1. Getting ideas
まずはよいアイデアが重要だ。
図書館に行くよりは雑誌や新聞を読んだり、ビジネスマンとの会話からヒントをつかもう。

2. Is your idea worth pursuing?
いいアイデアがでたらどうするか?
本当にいいアイデアかどうかを検証する必要がある。
それは「正しいかどうか」よりも「面白いかどうか」だ。

3. Don’t look at the literature too soon
他人の書いた論文は参考にしなくてよい。
自分で考え始めることだ。

4. Building your model
まずはシンプルに例をつくる。
いくつかを作ってみる。

5. Generalizing your model
いい素案でもデッサンのままでは絵にならない。
磨き上げる工程が必要になる。

6. Making mistakes
モデルが一般的に通用するかどうかを見極めるためには削ってみることも大事だ。

7. Searching the literature
探索すること。
たしかな洞察力を育てること。

8. Giving a seminar
身近な人に論文を聞いてもらいましょう。
これは重要なフェーズです。

9. Planning your paper
コンピュータを使って、まとめよう。

10. The structure of the paper

11. When to stop

12. Writing textbooks

13. Summary

日本のGDPを世界で比較するとどのような状況だろうか?現在日本のGDPは2008年のIMFのレポートにGDPにのランキングが発表されている。これによれば、日本は世界のGDPの約8~9%を占めその額は世界で2位である。

国の国内総生産順リスト(MER)上位10位。

順位 国名 2007年(確定値)
1 アメリカ合衆国 13843.83
2 日本 4383.76
3 ドイツ 3322.15
4 中華人民共和国 3250.83
5 フランス 2560.26
6 イギリス 2772.57
7 イタリア 2104.67
8 ロシア 1289.58
9 スペイン 1438.96
10 ブラジル 1313.59

 

1位アメリカ、2位日本、3位ドイツ、とさすがにベスト10には経済先進国が名を連ねている。
一方で4位中国、8位ロシア、10位ブラジルとRICs(ブリックス)のうち3カ国がベスト10に入ってきている。BRICsとは経済発展が著しいブラジル (Brazil) 、ロシア (Russia) 、インド (India) 、中国 (China) の頭文字を合わせた4ヶ国の総称である。
とくに成長著しい中国は、このままのペースで経済成長を続けると2015年ころには日本を追い越すのではないかといわれている。

さらにこのBRICsに次ぐ国々として、VISTA(ビスタ)と呼ばれる国々が注目され始めているという。VISTAとは、ベトナム、インドネシア、南ア フリカ、タイ、アルゼンチンの国々である。VISTA諸国はBRICsの国々と比べるとまだまだ潜在的要素が多いがそれでも急激な経済成長が著しく今後の 展開が注目されている。

このように、世界の経済も10年前とはかなり大きく様変わりしている。

ちなみに国民1人あたりのGDPでは日本は22位でしかない。

国民一人当たりのGDPのランキング

順位 国名 2007年
1 ルクセンブルク 104,673.28
2 ノルウェー 83,922.50
3 カタール 72,849.07
4 アイスランド 63,830.08
5 アイルランド 59,924.42
6 スイス 58,083.57
7 デンマーク 57,260.95
8 スウェーデン 49,654.87
9 フィンランド 46,601.87
10 オランダ 46,260.69
11 アメリカ合衆国 45,845.48
12 イギリス 45,574.74
13 オーストリア 45,181.12
14 カナダ 43,484.94
15 オーストラリア 43,312.32
16 アラブ首長国連邦 42,934.13
17 ベルギー 42,556.92
18 フランス 41,511.15
19 ドイツ 40,415.41
20 イタリア 35,872.42
21 シンガポール 35,162.93
22 日本 34,312.14
23 クウェート 33,634.34
24 ブルネイ 32,167.26
25 スペイン 32,066.96
26 ニュージーランド 30,255.58
香港(PRC領) 29,649.51
27 ギリシャ 28,273.30
28 キプロス 27,326.66
29 バーレーン 25,730.51
30 スロベニア 22,932.70

 

日本のGDPは現在約500兆円である。
これは日本の国全体の経済活動の合計である。

一方で、日本の国の借金総額は約800兆円。
この関係はいったいどう考えればよいか?

日本国の主要な経済数値は以下のとおり。

借金総額 800兆円
GDP 500兆円


国家予算 約83兆円(平成20年度) 

支出の部 収入の部
実際の活動費 63兆円 収入(税収等) 58兆円
借金返済 20兆円 新たな借金 25兆円

※数値は財務省発表の平成20年度の国家予算をもとに計算した概要値です。
 

 

平成20年度日本の国家予算

 

 総務省のホームページには「わが国の財政を家計にたとえたら」という説明がある。その説明は月収で計算しているので、ここではもっと簡単に年収レベル(1年間の収支)で置き換えてみる。

もしも日本の財政状態をサラリーマン家庭に置き換えてみたら…

一年間の収支

支出の部 収入の部
実際に使った額 630万円 年間の収入 580万円
借金の返済額 200万円 新たな借金 250万円

 

年収580万円の世帯で、実際に生活費などで使った額は630万円と50万円オーバー。
しかも過去の借金返済が200万円あったため新たな借金を250万円してこの不足分を穴埋めしたという現状といえる。
そして借金の残高はいくらあるかというと、8000万円…となる。借金は減るどころか増える一方である。

年収580万円のサラリーマンの借金残高8000万円というのはかなり危険な水準である。
しかも、借金は減るどころか毎年増えている。

仮に、年間の収入は来年以降も同じだとし、来年からは新たな借金をやめ借金返済を進めるならば、どれくらいで借金が完済できるか?

年間の借金の返済原資は年間収入だけになるので、支出総額は580万円にしなければならない。
年間の借金返済は200万円なので、生活費などは380万円まで切り詰めなければならなくなる。
この前提で、

8000万円÷200万円=40年
となり、完済まで40年かかることになる。

昨年まで630万円で生活していた家庭が突然380万円まで切り詰めることが可能かどうか?
それも完済まで40年かかるということは自分の代だけではなく子の代に借金を引き継ぐことになる。

さらに返済計画を練れば
・630万円で生活していた水準を約2割カットして500万円まで落とす
・毎年の借金返済を80万円とし、新たな借金はしない
という案がある。
すると、
・8000万円の借金は100年で完済(80万円×100年=8000万円)
できることになる。
しかし、この案は
・孫やひ孫の代まで借金を残す
・将来の金利やインフレデフレなど経済状態が不透明で予測が困難
などの問題がある。

つまり
日本の財政が、いかに困難な状況であることがわかる。

しかもこれは一般会計の数値だけで試算したが、実際は特別会計という裏の財布があり、この額が実質約200兆円ある。いろいろな問題をはらんだ制度だが、計算をややこしくしないために、このシミュレーションモデルでは計算から除外した。

ここでは、かなり単純化したが、
これが日本の現状財政をシミュレーションしたモデルである。

 

現在GDP世界2位の日本。日本は経済的には豊かな国だといえるだろう。
では、生活や文化面ではどうか?
残念ながら、現在の日本は生活や文化面で「豊か」とはいえないかもしれない。

経済政策を学ぶ上で大事なことは「経済的な側面」だけではない。
経世済民という世をおさめ民を助けるのが経済ならば、
人間が人間らしく暮らせるよう「生活や文化の側面」も向上させたい
と考えるのが自然だろう。

これからの日本のGDPに爆発的な伸びは期待しにくいといわれている。
BRICsやVISTA諸国が急激に追い上げられている日本。
GDPだけでは測れない豊かさを含め、意義ある成長を促進したいものだ。

gdpマップ
日本はどこに向かうのか?

経済理論にはマクロ経済学とミクロ経済学があり、経済学の二大理論として扱われている。
一般的に、マクロは巨視的大局的な観点で、ミクロは局部的部分的な観点というイメージがあが、おおまかにはそのようにとらえればよい。

ミクロ経済学は、経済主体の最小単位と定義する家計(消費者)、企業(生産者)、それらが経済的な取引を行う市場をその分析対象としている。最小単位の経済主体の行動を扱うためミクロ経済学と呼ばれる。需要と供給の関係の図はミクロ経済学の視点で作られている。

マクロ経済学は、個別の経済活動を集計した一国経済全体を扱う経済学である。マクロ経済変数の決定と変動に注目し、適切な経済指標とは何か、望ましい経済政策とは何かという考察を行なう。その主要な対象としては国民所得・失業率・インフレーション・投資・貿易収支などの集計量がある。またマクロ経済分析の対象となる市場は、生産物(財・サービス)市場、貨幣(資本・債券)市場、労働市場に分けられる。ケインズ理論やIS-LM曲線が有名。

コンテンツ

▼参考書籍
よくわかる経済と経済理論(藤田康範)
よくわかる経済と経済理論
藤田康範 (著)

▼藤田康範[ふじたやすのり]先生の紹介
慶應義塾大学准教授
メッセージ:経済政策のあり方を理論に基づいて分析することには尽きない魅力があります。この魅力をみなさんにお伝えし、感動を共有できたらと思っています。
※詳しくは慶應義塾の藤田康範先生の紹介を参照ください。

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